ア行
【読み方】いごん・ゆいごん
自分の死後に,生前の意思を実行させるための方法です。
相続発生時の争いを防止するために有効な手段の一つです。
遺言には一定の形式が必要となり,種類としては,自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。
【読み方】いごんしっこうしゃ
遺言の内容を実現させるために,選任された人を指します。
遺言内で指定された人や,家庭裁判所から選任された人が遺言執行者となります。
【読み方】いさんぶんかつきょうぎ
相続が発生した際、被相続人による遺言がない場合に,相続人全員で遺産分割に関する話し合い(協議)を行うこと。
遺産分割協議において,被相続人の遺産の分割方法や、だれが何を相続するかを決定していくこととなります。
【読み方】いさんぶんかつちょうてい
遺産分割調停とは、遺産分割について協議がまとまらない場合、家庭裁判所において,調停委員を介した話し合いによる解決を目指す手続です。
遺産分割調停では各相続人から考えや意見を聴取し、必要に応じて資料等を提出してもらうなど、事情をよく把握したうえで,遺産分割について合意を目指し,話合いが進められます。
遺産分割調停は,相手方の住所地を管轄する家庭裁判所もしくは,当事者(申立人および相手方)間で合意した管轄の家庭裁判所に申立を行います。
【読み方】いぞう
被相続人が遺言により,第三者へ相続財産を与える処分行為のこと。
遺贈は、遺言の内容を秘密にできる・受遺者の判断で放棄も可能という利点があります。
遺贈は遺贈者が一方的に行う意思表示(単独行為)なので,受遺者は財産を受け取らないという選択も可能です。
遺贈には,包括遺贈と特定遺贈があります。
【読み方】いりゅうぶん
被相続人の法定相続人に対して、遺産の一定割合の取得を保証する制度による相続分のこと。
遺留分の権利は、被相続人の直系尊族・直系卑族および配偶者で、兄弟姉妹には権利がありません。
【読み方】いりゅうぶんげんさいせいきゅうけん
被相続人の遺贈や贈与、遺言による遺産分割方法の指定などにより、特定の相続人にだけ有利な内容の遺産分配がなされた場合、自らの最低限保証される遺産の取り分(遺留分の範囲内)で,遺産を確保することができる権利のこと。
【読み方】いんかんしょうめいしょ
「実印」として登録した印鑑の印影であることを証する書面のこと。
印鑑の変更がない限り,印鑑証明書に有効期限はありません。
カ行
【読み方】かいやくへんれいきん
生命保険などの解約・失効・解除の際に、保険会社から払い戻されるお金のこと。
【読み方】かぜいいさんそうがく
土地・建物や預金等,被相続人の正の財産から借入金や未払金等の負の財産を控除したものを,正味の遺産額と呼びますが,その正味の遺産額から,基礎控除額を引いたものを課税遺産総額と呼びます。
【読み方】かんかぶんかつ
現金化されていない遺産(不動産や株式等)を、売却する等して現金化した後に、相続人間で分け合う方法のこと。
【読み方】きそこうじょがく
被相続人の遺産総額(正味の遺産総額)に基づいて相続税を計算しますが,「ここまでの範囲の財産には相続税をかけません」という基準の金額があります。
その相続税がかからない範囲の金額のことを基礎控除額といいます。
【読み方】きょうゆうぶんかつ
被相続人の遺産の一部、もしくは全部を複数の相続人が共同で所有する方法です。
一見、公平な分割方法だと思われるかもしれませんが、不動産などを共有分割する場合は、十分な注意が必要です。
【読み方】きよぶん
被相続人の生前に,その財産の維持や増加に貢献した相続人がいる際,本来の相続財産にプラスの財産を付加し,他の相続人との不公平を是正するための制度。
寄与分を主張できるのは法定相続人のみとなります。
寄与分が認められる事例として,「家事従事型」,「金銭等出資型」,「療養看護型」,「扶養型」,「財産管理型」などがあります。
【読み方】げんていしょうにん
相続によって得た正の財産(資産)の範囲内で,負の財産(負債)を相続すること。
相続人の遺産について,正の財産と負の財産の正確な額が判明しておらず,負の財産を相続したくない際に有効な手続きの一つになります。
【読み方】けんにん
自筆で作成された遺言書(自筆証書遺言)に基づいて,相続手続を進める際に,家庭裁判所にて必ず行わなくてはならない手続です。
遺言内容の有効性を確認する手続ではなく,あくまで,相続人に対し遺言の存在・内容を知らせ,遺言の内容を明確にして偽造や変造等を防止するために設けられた手続です。
【読み方】げんぶつぶんかつ
被相続人の財産を,換価したり代償することなく,現物そのままを分け合う方法です。
いくつかあ遺産分割方法の中で,最も単純かつ簡単な分割方法となります。
【読み方】こていしさんぜい
毎年1月1日,土地・家屋・償却資産(これらを総称して固定資産といいます。)を所有している人に対し,その固定資産の価額に基づいて算定される金額を,当該固定資産の所在する市町村へ納付する税金のこと。
【読み方】こうしょうにん
裁判官,検察官,弁護士などの法務実務に30年以上かかわってきた人たちから選ばれ,法務大臣が任命する公務員です。
当事者や関係人の委託を受けて,公正証書を作成したり,私署証書や定款に認証を与える権限があります。
【読み方】こうせいしょうしょいごん
公正証書遺言とは,公証役場において,公証人が遺言の法的有効性をチェックし,公証役場に保管する遺言を指します。
公証人が作成した書面に,公証人と遺言者,証人が署名捺印をして完成します。
自筆証書遺言と違い,家庭裁判所での検認の手続が不要です。
サ行
【読み方】さいしざいさん
祭祀財産は3種類あり,系譜(家系図),祭具(位牌や仏壇,仏具,神棚など),墳墓の所有権(墓石やお墓)のことをさします。
相続財産とは区別され,非課税なので,相続税がかかりません。
また,相続放棄をしても祭祀財産は継承することができます。
【読み方】さいむこうじょ
被相続人の遺産のうち,被相続人の債務で、被相続人が亡くなった際、現に存在するもので、確実と認められるものについて,遺産から控除し,相続税の対象とすることを言います。
債務控除の対象となる債務ですが,具体的には,借入金(保証債務をのぞく)や,葬儀費用,未払金(税金や医療費など)などを指します。
【読み方】しいんぞうよ
被相続人(贈与者)と相続人(受贈者)が,被相続人の生前に契約を交わし,被相続人の死亡によって特定の相続人に財産を与えることを指します。
遺書のように厳格なルールがなく,特定の相手に確実に財産を渡せるところが利点となります。
死因贈与は贈与者と受贈者との間で合意の上,取り交わされる契約です。遺贈と異なり,贈与者の死後,受贈者の意思で,財産の受け取りを放棄することはできません。
また贈与と称してはいますが,相続税がかかります。
【読み方】じひつしょうしょいごん
遺言者自らが,全ての文を自筆にて書いた遺言書のこと。
民法の細かな規定に従い,作成します。規定通りに作成できれば,公正証書遺言と同様の効力を有する遺言書となります。
【読み方】じゅんかくていしんこく
相続人が被相続人の代わりとなって,相続開始を知った日の翌日から4か月以内に申告,納税をしなければならないこと。
【読み方】しんぱんぶんかつ
遺産分割審判によって,審判書に記載された内容に沿って分割が行われること。
遺産分割協議で,話がまとまらず,家庭裁判所を介した遺産分割調停に移行してもなお,不調に終わった際,遺産分割調停は,遺産分割審判という手続に移行します。
その際,裁判官により,遺産分割の方法が審判され,審判書が作成されます。
【読み方】せいぜんぞうよ
これから相続を控えている人が,将来の相続人へ,相続税の負担を軽減するために,生前から財産を贈与すること。
生前贈与による相続税軽減のための方法はいくつかあり,事前に専門家へのご相談をお勧めします。
【読み方】せいねんこうけんせいど
認知症や知的障害,精神障害により,判断能力に,低下・欠如が認められる際,その人の財産管理や契約手続の代理など,その人を補助し,サポートする人を選任する制度。
大きく分けて2つの制度があり,それぞれ「法定後見制度」と「任意後見制度」に分かれる。
法定後見制度は,事理を弁識する能力が,欠如・低下・不十分となった際,法律に沿って,家庭裁判所が後見人を指定する制度です。
任意後見制度は,事理を弁識する能力が十分なうちに,あらかじめ,特定の人物(後見人)に,状況に応じて様々な権限を与えることを契約として締結し,将来に備えることのできる制度です。
【読み方】そうぞく
亡くなった人の財産などの様々な権利・義務をその人の配偶者や子など家族が引き継ぐことをいいます。
亡くなって遺産を遺す人を「被相続人」と言い,遺産を引き継ぐ人を「相続人」と言います。
そして,被相続人から相続人に引き継がれる財産のことを「相続財産(遺産)」と言います。
現在の法律では、遺言がない限りは配偶者・子・親・兄弟姉妹などが相続人となります
【読み方】そうぞくかんけいせつめいず・そうぞくかんけいず
被相続人と相続人の血縁関係を図式で説明する書面のこと。
【読み方】そうぞくけっかく
特定の相続人が,民法891条の規定(相続欠格事由)に当てはまる場合,その相続権を失わせる制度のこと。
欠格者は遺贈も受けることができませんが,欠格者の子は代襲相続することは可能です。
民法891条規定の相続欠格事由は次のとおりです。
①故意に被相続人の生命を侵害した場合・・・相続人が,財産狙い等で,被相続人を殺害,殺害未遂で刑に処されたとき。また,被相続人の殺害について,犯人を知りながら告発しなかったとき。
②遺言への不当干渉・・・遺言の内容を,被相続人の意思とは別に,不当に干渉し,取消や変更を強いた場合や,遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿したとき。
【読み方】そうぞくはいじょ
特定の相続人によって,被相続人に対し,虐待や侮辱行為があった際に,被相続人が家庭裁判所へ申立を行い,その相続人の相続権をはく奪する制度。
相続排除の対象は,遺留分を有する配偶者,子,父母の推定相続人のみとなります。遺留分の認められていない兄弟姉妹には相続排除ができないため,遺言で相続をさせない旨の記載が必要となります。
相続人という立場を放棄し、すべての相続財産(資産および負債)を受け取らないこと。
相続人が相続の発生を知ってから3ヵ月以内(熟慮期間)に管轄の家庭裁判所に相続放棄の申述申立を行う。
尊属とは,自身よりも前の世代に属する血族のことをいいます。つまり,先祖に当たる人らのことです。
具体的には,父母,おじおば,祖父母,曾祖父母などが尊属に当たります。
この尊属のうちで,直系の尊属(直系尊属)は,第2順位の法定相続人となります。
直系とは,一方が他方の子孫に当たる関係のことをいいます。したがって,直系尊属とは,父母,祖父母,曾祖父母などということになります。
ちなみに,直系に対して傍系というものもあります。傍系とは,共通の始祖から枝分かれした関係のことをいいます。例えば,おじおばや祖父母の兄弟姉妹などが傍系血族に当たります。
タ行
代襲相続とは、被相続人が死亡するより前に,被相続人の子や兄弟姉妹が死亡等により相続権を失っていた場合に発生する相続でを言います。
簡単に言えばすでに死亡してしまった相続人の代わりに、その子(被相続人から見て孫や甥姪)が相続権を承継する制度のことを言います。
代襲相続が発生する原因(代襲要因)は,相続人の①死亡②相続欠格③相続排除の3つに限られ,相続放棄は代襲相続の発生原因となりません。
また代襲相続の開始要件は,次のとおりです。
①被代襲者(本来の相続人)が被相続人の子または兄弟姉妹であること
②代襲要因があること
③代襲相続人が相続開始時に被代襲者の直系卑属であること
④代襲者が被相続人からの排除者,欠格者でないこと
⑤代襲者が被相続人の直系卑属であること
代襲相続は大変複雑な制度ですので,お困りの際は弁護士等にご相談されることが肝要です。